2015年12月20日日曜日

Boyhood (2014)


Year:2014
Director: Richard Linklater
Writer: Richard Linklater
Cast: Ellar Coltrane, Ethan Hawke, Patricia Arquette, Lorelei Linklater

watched on 2015/11/20 あたり?
★★★★★5 (時間が経つほどいい映画だったという思いがこみ上げてくる)
★★☆英語レベル2.5点(子ども→青年主眼なのでわかりやすい会話が多い)

6歳から12年間、18歳まで
ひとりの男の子の成長を描く。特別な青春ではなく、ごく普通の、ordinary boyの話。パトリシア・アークエット演じる母親が最初はシングルマザーで、その後2回結婚して2回離婚したりするあたりは、日本の普通とは違うかもしれないけれど、アメリカではかなり「普通」の域に収まる家族の在り方だと思う。

「ひとりの男の子の成長を描く」

というキャッチで目を引く映画だけれども、実際は映画の中の登場人物全員が成長している。そこがまずすごくいい。主人公メイソンの成長はもちろんのこと、私は母親役のパトリシア・アークエットと父親のイーサン・ホークこそこの映画を成立させている最重要キーパーソンだと思う。映画にかける心意気と情熱というものさしで見た場合、あのふたりの年齢で12年拘束される映画に積極的に参加したという事実は、役者としての価値を高めている。


私がFacebookで、「ここ数年で見た一番いい映画」とこの映画を紹介したら、ひとりの友達が「脇役のイーサンがまたいいよね!」というコメントをくれたけれど、私に言わせていただくと「ちがう! イーサンはただの脇役じゃない。この映画をキャメロンと一緒にクリエイトした立派なプロデューサー陣なの」という感じ。
イーサンがどれだけ、この映画にコミットしていたかは下記のインタビュー動画を見ればわかるよ、きっと。(1時間近く)

●やっぱりリンクレーターは私の味方
音楽のセンスもとてもいい。それぞれの時代からちゃんと音楽を選んでいる。リンクレーター監督大好き。





コルトレーン少年は6歳で、ピンクフロイド、レイジ・アゲインスト・マシーン、レディオヘッドを聞いていた。成長するにしたがって音楽のテイストがless angrierになったと。彼はunlikely any other kidsだったからキャストした。From Hustonである理由は、監督がコミュニケーションを密にとる必要があったため、距離が近い人物がよかった。12年計画の映画だから。
リンクレイター監督の母親も監督が子どものときに大学に戻ったらしい。母親役のパトリシアの母親も同じ。子どもがいるときに大学に通った。すばらしい。つまり監督は自分の母親をモデルにしているわけだね。
オバマの選挙キャンペーンシーンはまだ大統領選の結果が出る前に収録していた。moment「記録」として、監督(誰もの)の胸に残る記憶として残すべきものを残していったという。
キャロラインはハリーポッターの収録の年にスランプになったらしい。
Hey dad, can you kill my character?と聞いたらしい(笑)。

★そのほか、これとは別のインタビュー映像を見てわかったことリスト
  • コルトレーン君の両親はアーティスト、それが選定の決め手
  • 各年齢ごとにだいたい13分から14分で編集
  • リンクレイター監督のキーワード=テキサス・ヒューストン=ジョン・ヒューズのシカゴみたいなものか。
  • 続編制作が決定している


●The best “Awkward”
シーナと一緒にベッドにいるところをサマンサのルームメイトに見られてしまって出たこの言葉。今まで、この言葉のニュアンスがつかみきれていなかったけど、これぞThe Best Awkwardシーン!
「ヘンな感じ~」 

●一番ブレていないのはイーサン・ホーク YOUだよ!
息子メイソンに向かって「男はぶれるな」と説教をしているイーサンがいたけれど、どの映画を見てもYOUの役どころがいちばんブレていない気がするよ。ダメ男でちゃらいけれど弁がたつ面倒な奴(だよね?)。
  
●アカデミー賞ノミネート、グラミー賞受賞
……とは全く知らずにこれは私のここ数年のベストムービーだと確信していた。見終わった直後よりも、見終わった次の日からじりじりと映画のよさが胸の中にこみ上げてきた。私も男の子の母親であって、それがすごく楽しみになった。

それにしてもこの写真見て!本当の家族みたいだよね。この写真ディレクションもすばらしいと思います。
 









●シーナはBefore Midnightのエキゾチック女子に似ている
メイソンが高校時代に付き合っていたガールフレンド、シーナ。とてもチャーミングな美少女でこの映画の中で記憶に残る人物TOP3に入るキャラだと思う。Zoe Graham。単純に私の好みなだけかもしれないけど、ついこの間見たばかりのBefore Midnightに出ていて、やっぱり私の記憶に焼き付いた女の子(=Ariane Labed)と似てるなーと思った。似てない?
私の好みなのか、リンクレーター監督の好みなのか、、、

こちらがAriane Labedちゃん

ね?ね?なんとなくわかる気しない?



●一番最後の大学生の女子のセリフ

Nicole: You know how everyone's always saying seize the moment? I don't know, I'm kinda thinking it's the other way around. You know, like the moment seizes us.Mason: Yeah. Yeah, I know. It's constant - -the moment. It's just... It's like it's always right now, you know?Nicole: Yeah.
   ニコール: 「どうしてみんな一瞬を逃すなって言うのかな
       私は逆だと思うの...
       一瞬は私たちを逃さない。」
メイソン: 「分かるよ。時間は途切れない。       一瞬は常に今ある時間のことだ。」



●Movie Trailerが秀逸
Boyhood | Official US Trailer | IFC Films




この冒頭のメロディといい、野球場シーンの歓声を使った盛り上げ効果といい、カット映像の選び方、並べ方、すべてが非常によくできている。映画を見た後にこのトレイラーを見たんだけど、トレイラーだけでもすっごい好き。いい感じすぎる。
普段はトレイラーを評価しようなんてことはまったく思わないけれど、このトレイラーに関してはなんか特別だった。そしてこれが特別だと感じたことをはっきり意識できたのは、この数日あとに見た(これも私の大好きな5点★の作品)Nick and Nora’s Infinite Playlist『君に逢えたら』のトレイラーをみて、あまりにもがっかりしてしまったから。映画がいいからトレイラーがいいとは限らない、そしてトレイラーがいいから映画がいいとも限らないという関係性が初めてはっきりしたよ。それにしても、トレイラーがしょぼいというのは作品にとって本当にイタイなーと思う。Nick and Noraは本当に良作だと思う(これはこれで別に記事を書く予定)。良作だからこそ友だちにも勧めたいと思って、Facebookに貼るリンクを探したんだけど、これじゃまったくこの映画の良さ、良さどころかストーリーのおいしいところも全然伝わらないよー。
このイントロ、全然Nick and Noraを表現していない!!

トレイラーも立派な作品なんだということを初めて意識したんだけど、そりゃそうだよね。トレイラーだけ作る専門職があるくらいだもんね。HolidayAmanda(キャメロン・D)のことね。




 ●ローレライ・リンクレイター(=サマンサ)のボーイフレンド
Justin Jacobs
イケメンです!誰だろうね。モデル?
       


●Ellar Coltrane君の次回作はビッグタイトル
次の作品(2016年公開予定)はなんとエマ・ワトソン、トム・ハンクス共演のThe Circleという映画みたいよ。すごいね!!