2014年10月12日日曜日

舟を編む

義母に本をいただいたので読んでみました。義母は読書家で、私が自分では手にとりそうもない本をオススメしてくれたり、自分が読み終わった本をそのままくれたりします。これは私にとっては本当にありがたいこと。本、映画、音楽……いろんなエンタメ作品があるけれど、最近「本」に限ってはだんだん自分で選べなくなってきていて……いや、選ぶのが面倒という方が正しいかな。本屋に行っても、本があふれすぎていて、どれを買っていいのか、自分が本当に欲しい本なのか、お金を出して買うべき本なのかetc…考え出してしまうとなかなか変えない。
そして、悩んでいるとあっと言う間に1時間が経ってしまい、結局何も買わずに退散、ということがしょっちゅうです。ああ、また1時間無駄にした、という後悔ばかりが残ります。だから、知人や友だちがオススメしてくれる本は本当に貴重!
もう、本屋大賞は信じない
『舟を編む』は私が読んだ初めての本屋大賞の作品です。他の作品は読んでいないけれど、だいたい傾向がつかめた感じがします。~大賞という言葉に騙されて、自然と「芥川賞」「直木賞」と並列で考えてしまっていたのだけれど、まったく別物!とにかくまったく次元の違うものなので、そこがこんがらがっているひと、要注意!!(誰か私にこうやってアドバイスをくれる人がいたらよかったのに、と思います
私は本は読むけれど、そんなに名作ばかりよんでいるばかりではないし、どちらかというともっとも一般的な「もっと本を読みたいのだけれどなかなか読む時間がとれなくて1年に数冊本を読む層」に属していると思います。そんな文学に疎い私*でも、この話は「軽い!」とすぐにわかりました。「本を読んでいる」感じがしないのです。んー、漫画を読んでいる感じ。他に例えるなら、1回約50分の全10回ドラマを圧縮して2時間ドラマに仕立てた無理矢理感がもろに見えてしまって、物足りないし、展開には無理があるし、本当にこれが文学の賞を受賞した作品なのか、と疑問ばかりが残るのです。
そしたら……あった!!
私の疑問に対する回答はやっぱりここにあった。ズバリすっきりと答えてくれています。回答してくださったかたがたありがとうございます。
大企業出版社って本当にこんな感じなのか?
私も一応編集者なので、本を作る過程やそれぞれの段階での苦労など比較的理解している方かなと思うのですが、実際の現場から見るとこの本の舞台は楽園ですね。舞台の出版社は、辞書部門があるくらいなので大企業でしょう。しをんさん、いつか小規模出版社の話も書いてください。小規模出版社と大規模出版社では会社の体制がまったく違っていて、つまりそれぞれの仕事量や責任も違います。だから、小規模派の私からしてみるとまず、辞書の業務だけに専念できるという点があり得ません。
編集の仕事以外に、webサイトのメンテやら、荷物の発送やら、他の編集者の本の企画会議やら、メルマガの作成やら、アルバイトの管理やら(本書にもアルバイトの管理は出てきますが、アルバイトの人数が多いとそれはそれでめちゃくちゃ大変です。仕事を教えるのに時間がかかってしまって、自分でやったほうが早いよ、みたいなこと何度もあるし……)で、とにかく自分が担当している本にかけられる時間って、1日の3分の1くらいです。大企業は本当に自分の担当になった本の編集だけに専念してていいのかなあ、いいなああ。うらやましすぎるゾ!(本当にそうならね)
温暖差アレルギー
ここまであまりこの作品についていいことを書いていませんが、ひとつ本当によかったと思えるのは「温暖差アレルギー」という単語を知ることができたことです。辞書制作の話なので、もっと知的な用語がいっぱい身につくのかと思ったら、そんな描写はほとんどなく、私の心に一番残ったのは「温暖差アレルギー」でした。私、ぜったいにこれ。今までスギ花粉やブタクサにやられているのかなと思っていたけれど、絶対にこっちだと思うのです。
今までこの病名を知らなかったので、それだけでもいい収穫だわ。
秘密の花園
『舟を編む』は私が読んだ三浦しをんさんの作品としては2冊め。
1冊目に読んでみたいと思ったのは、これ、『秘密の花園』
ピンク色の女性向けなイラストが気にって、またブックオフで買えたという点も気に入ったのですが、イマイチ入りこめずに脱落してしまいました。期待値が高かったせいかがっくりして以来三浦さんの本は読んでいなかったです。
そして今回『舟を編む』を読んでやっぱり私には三浦さんの本は合わないんだと思った矢先、仕事でお世話になっている大先生からまた推薦されてしまったのです。
●️『あやつられ文楽鑑賞』
このタイミングはもうあっぱれとしかいいようがありません。
歌舞伎の話から伝統芸能の話になって、その流れで辿りついたのがこの本だったのです。Amazonの欲しいものリストにも登録しちゃったしまたいつか読むしかないでしょう(笑)。