2013年9月23日月曜日

jOBS (2013)



Year: 2013
Director: Joshua Michael Stern
Ashton Kutcher, Dermot Mulroney, Josh Gad
  
My Rating: ★☆ 1.5
Where: At a preview


私はもともとMacファンでもApple信者でもない。もちろん伝記『スティーブ・ジョブズ』も未読。でもスティーブ・ジョブズは有名だから名前は知っている。でもよく考えると名前とAppleCEOだってことくらいしか知らなくて、人そのものについてはほとんどわからなかった。あまりメディアにも出てこないし、自分の意見や手法を前に出すような人じゃないよね、きっと。だから、「ジョブズって本当はどんな人だったのかな」と思ってこの映画を見たのだけれど、見てジョブズが大嫌いになったよ。ジョブズだけ嫌いになればいいのに、なぜかApple製品にまで嫌悪を抱くようになってしまった。ま、でも後でよく考えてみて、iPhoneは便利だから製品までは嫌いにならないでおこうと考えをあらためたのだけれど……。
 
 嫌いになったのは「この映画を見て」だから、この映画に描かれていない部分で好きになれるところはあるのかもしれないけれど、でも映画の中ではなんてウソつきで、薄情で、卑劣な奴!と怒りが込み上げてくるくらいだった。

 いちばん信じられなかったのが、自分の娘Lisaの認知を拒んだこと、それだけならまだしも、娘の母親(つまり当時の彼女)に対して、「俺の子じゃない、お前が悪い!」と一方的に言いつけて、その後自分の仕事が軌道に乗ってきてからも、かたくなに拒み続けたこと。さらに裁判までして、自分は不妊症(無精子症)だと主張したけれど、後に生物学的にLisaがジョブズの子どもであるという証拠が出てきたために、いやいや(だと思う)認知をしたようだ。


 映画の中にも出てくるエピソードだけれど、ジョブズはMacintoshの前身としてApple LISA を開発していた。しかし、ジョブズはLISALocal Integrated Software Architectureの頭文字だと主張。しかし後に、伝記ライターに実はLISAは娘の名前に由来していると語っている。もうこの時点でアウト。世間的にとか一般的にはどうだか知らないけれど、私の中ではもうアウト。あああーー、ヤダヤダこういう人!


いやいや認知した娘LISAは、最後になぜジョブズの家で暮らしていたのか? 
ところが映画の終盤あたりで、その娘Lisaがジョブズの自宅に住んでいる様子が描かれている。「え?なんで?」って思うよね、フツー。でも映画の中ではその経緯についてはノータッチ。だからこのあたりからずっと頭の中は「なんでなんで?」の嵐。Wikiによりますと――Lisaは学生時代にジョブズの家で数年暮らしていたことがある――そうです。彼女のハーバード大学の学費はジョブズ持ち。フム。実際にはどんなやりとりがあったのか知らないけれど、この一面だけ見て思うのは、ジョブズもひどいやつだけど、娘のLisaもジョブズのお金を目当てにしただけなんじゃないの、っていう無駄なモヤモヤ感。

だってほら、実母よりもジョブズの妻ローレンスさんのことを慕っているように見えちゃうんだもの。実の母との仲はどうだったのかしら?気になるところ。



その娘Lisa Brennan Jobsさんは、現在はジャーナリストとして活躍している(いた?)ようだ。彼女のブログ20099更新ていないど、2009年ごろまでは雑誌などで記事を書いている。今も仕事しているのかな、それともちょっとお休みしてるのかな。彼女のエッセイをいくつか読んだけれど、文章は分かりやすくてよいよ。

ジョブズが亡くなってから、Lisaさんの母がジョブズと付き合っていたころの話を書籍にして発売するということが公表されているけれど、これって別に誰も望んでないよね。人気の衰えないうちに波にのって人稼ぎしておこうっていうようにしか思えない。もしかしたら、こういった背景もあってLisaさんはメディアに出てこなくなっちゃったのかな(憶測だけど)。


人間関係、家族関係についてのストーリーが(ほぼ)ない!
そうなの。これ大切なとこ! この映画を見ているとジョブズのプライベートについては「わざと?」としか思えないくらいに省かれているの。オーイ! それじゃ意味ないんだよ、私みたいなジョブズ素人にとっては。っていうか、Appleのことは大好きでも、彼の人間性については知らない人がほとんどなんじゃないかな。仕事での成果や熱意はよく取り上げられるけれど、人間として「この人できてる!」みたいな面はまったくと言っていいほど見たことないよ。そういうところを映画は描くべきなんじゃないの? (描いてほしかった、ジョブズってこんなにすごい人なんだって思いたかった)


気になる! 妻のローレンスさんはどんな人?
ジョブズの奥さん、ローレンス・ジョブスさんは熱心な慈善活動家のようだ(2013年5月のNY Times記事)。ノンプロフィットの教育団体などを主催&サポートしている。その活動はアメリカ国内にとどまらず、2012年にはベン・アフレックとコンゴを周り、アフリカの子どもたちの教育なども支援しているようだ(動画→ローレンスが出てくるのは8:17くらい。それにしてもこの動画のベンの態度はなんなんだ!足の組み方がエラそうだ!)。そして、彼女が立ち上げた最も大きなプロジェクトcollege trackは、金銭的、状況的に大学に行くことが困難な人々が大学に行き学ぶことをサポートしている。



 気になるのは二人の出会い。ジョブズがスタンフォード大学でスピーチをしている時に、最前列にいたローレンスさんが目にとまり、その日の帰りに駐車場で彼女を食事に誘ったことがきっかけで二人は結婚したらしい。二人が結婚したのは1991年。Lisaが生まれたのが、1978年で、認知したのはその数年後だから、それからローレンスさんに声をかけるまでにどんな心境の変化が彼にあったのか、それが私にとってとても気になるところだ。が、それはこの映画にはもちろん一切出てきません。
  

さて、アシュトン・クッチャーさん。最近は?
デミと別れてからミラ・クニスと交際しているようです。婚約寸前だとか。


おっと、まずジョブズを演じたことについてから言わなくちゃね、映画の感想だからね。確かに歩き方は似てたかも。彼なりにいろいろ研究したり調査したみたいよ。背丈もそれなりにあるし、雰囲気は出てたかも。でも私の予想だと、本物のジョブズのほうが数倍恐そうだけど……。どこで聞いたのか(読んだのか)忘れちゃったけど、すい臓がんの手術で入院しているときに、病室にあった花瓶のデザインが気に入らないと大声でどなりちらして、自分の気に入った花瓶にとりかえさせたという話がある。それを知ってから私の中でのジョブズ像はかなり嫌な神経質のおじさんということになっています。

 俳優としての評価だけれど、この映画の中で彼の演技が特に優れていたとか、印象に残ったというような記憶は刻まれなかったのでイマイチかな(ごめん、上から目線で)。ただ、結構なおバカキャラとして定着していたのが少し払拭された感じがするので、彼のキャリア的にはかなりグッドな作品だと思います。


最も刺激的なイノベータートップ50に選ばれたアシュトン
 全然知らなかったんだけど、アシュトンさんはIT系の投資家としても有名なんだね。映画のパンフレットで知ったんだけど、「最も刺激的なイノベータートップ50」らしいよ。
それから、彼が出資して設立したカタリス・ネットワークもなかなか頑張ってるみたい。「アシュトン・クッチャー、ビジネス」で検索してみたら、IT投資家データーベースみたいなのがヒットして、今までの投資経歴とかを見ることができて面白かったよ。
これがアシュトン。そして探してみたらティンバーレイクもいた。

  
この映画で一番アツいのはジョシュ・ギャッド
 スティーブ・ジョブズの歴史の中で一番重要なのって、ジョブズよりもジョシュ・ギャッドが演じたウォズなんじゃないかなって思う。だってさ、ウォズがいなかったら何も生まれなかったんだよ。可能性を最大限に活用したのはジョブズかもしれないけれど、その可能性を生み出したのはウォズなんだよ。映画を見ていてつくづく思うのは、「ジョブズはエラそうなことばかり言って、自分で何も作ってないじゃないの!」ってこと。作ってるのはウォズのようなプログラマーたち。どちらも相互関係なのはわかるけれど、でも結果的にジョブズだけに栄光が与えられているのはかなりズルイよ。映画を見てて、私はウォズが大好きになったよ。私にとってこの映画は「ウォズ」と出会った映画ということにしておこう。


 
 ウォズ本人ももちろんなんだけど、演じたジョシュ・ギャッドがさらに魅力的な人でこれは参ったよ。もう嬉しくなっちゃうくらい、こういう人をずっと待っていた。まず、カーネギーメロン大学の演劇スクール出身という時点でもう新鮮! 映画としての出演作はまだそんなに恵まれていないかもしれないけれど、現在なんと『ツインズ』の続編を執筆中らしい。シュワちゃん、デビちゃんに加えて、エディマフィちゃんが参加するらしい。ああもうこれどうなっちゃうの。楽しみ☆

メモ:ジョシュが共同設立した喜劇グループThe LostNomads Comedy Troupe
メモ2:ジョシュが執筆を手掛けているドラマPenn 1600。これも面白そうだけれど、シーズン2はキャンセルされちゃってるのね。ダーマ&クレッグのダーマ(ジェナ・エルフマン)も出てる。
メモ3:@joshgadのツイッター画面背景がかわいい。ToyStoryの宇宙人みたいなの





 すみません、最後に、本当にどーでもいいことなんですけど、ジョブズの若かりし頃のこの写真を見て、私の頭に誰かの顔がすぐによぎったのですが、この人でした。でも並べてみるとそんなに似てないかな……。